今回紹介するのは
二人一組の女神
ヴィダートリとダートリ
です。
インド神話に興味がある人はぜひ読んでみてください。
ヴィダートリとダートリとは?
ヴィダートリとダートリは「プラーナ時代」以降における女神さまの一人です。
~ヴィダートリのプロフィール~
- 名前の意味1: 「制定する者」
- 名前の意味2: 「創造者」
- 出典1: 「マハーバーラタ」
- 出典2: 「リグ・ヴェーダ」
~ダートリのプロフィール~
- 名前の意味1: 「創造者」
- 名前の意味2: 「支える者」
- 出典1: 「マハーバーラタ」
- 出典2: 「リグ・ヴェーダ」
ヴィダートリとダートリ: 機織り女神?
ヴィダートリとダートリはそれぞれ
- ヴィダートリ: 運命神
- ダートリ: 創造神
とヴェーダでは説明されています。
そんな彼女たちは機織りを行いますが、そこで用いられる「黒と白の糸」は「昼と夜」を表しています。
また、1枚の布として「世界の運命」を織り上げています。
彼女たちが使う織機には「12の区切りを描いた輪」がついており、「6人の童子」が回しています。
それぞれ
- 「12の区切りを描いた輪」: 1年
- 「6人の童子」:「春夏秋冬、雨季、寒気」
をそれぞれ表しています。
ヴィダートリとダートリの物語
そんな二人の女神が登場する物語は「マハーバーラタ」のとある一説です。
見ていきましょう。
~運命の双子?神~
ヴェーダという名前のバラモン(司祭)には「ウッタンカ」という弟子がいた。
彼は師匠の妻の命令で
師匠が仕えしパウシャ王の王妃
彼女の愛用している耳輪を手に入れる
ことになった。
彼はその命令通り、いくつかの試練を乗り越えて耳輪を手に入れることができたが、ナーガの王タクシャカに奪われてしまう。
ウッタンカは耳輪を取り返すために、タクシャカの逃亡先の「地下のナーガ国」に足を踏み入れた。
そこで、彼は二人の女性が黒と白の布を織っているのを見かけた。
彼女たちが使っている織機には12の区切りが描かれた輪がついており、それを6人の童子が回し、その横には大男(雨の神パルジャニヤ)が立っていた。
彼は結局、指輪を取り戻し、師匠の妻に献上してからこの不思議な女性たちについて、師匠に話した。
すると、師匠はこう答えた
「彼女たちこそが運命の女神ヴィダートリとダートリである」
古き時代の創造神
ヴィダートリとダートリは、古い時代の創造の女神であるといわれていて、特にダートリは
- アーディヤ神群の一員(雷神インドラや太陽神が兄弟)
- 太陽・月・天・大地・光を創造する
- 生命の創造・健康の維持・病気治療・不老不死
- 生産・雨ごい
などの女神として崇拝されていました。
ですが、そんな女神たちも時代が経つにつれて、信仰は途絶えていきました。
ただ、彼女たちの存在は新しい創造神に吸収され、「創造神ブラフマー」や「維持神ヴィシュヌ神」の別名として使われることもあります。
まとめ: ヴィダートリとダートリはこんな女神
今回は2人の女神を紹介させていただきました。
織機の近くに謎の男が何故立っているのか、私的に一番気になりますね・・・・。
というわけで今回のまとめ
- ヴィダートリとダートリはインド神話の女神
- 二人でペアの女神
- ヴィダートリ: 運命神
- ダートリ: 創造神
- 2柱とも古い時代の創造神で、新しい創造神に吸収されて存在は別名として存在する