今回紹介するのは
心優しき殺人の神
ムリトゥユ
です。
インド神話に興味がある人はぜひ読んでみてください。
[スポンサーリンク]インド神話のムリトゥユとは?
ムリトゥユは「プラーナ時代」以降における女神さまの一人です。
「人間は元々は不老不死であったが、何かしらの理由で死ぬ運命となった」という神話が世界にはあります。
この女神はインド神話での理由となります。
~ムリトゥユのプロフィール~
- 名前の意味: 「死」
- 異名: 死の女神
- 夫: いない
- 出典: ヴァーユ・プラーナ
ムリトゥユの兄弟
この女神には夫はいませんが、兄弟がいます。
- ヴィヤーディ(病気)
- ジャラー(老年)
- ショーカ(悲しみ)
- トリシュナー(渇き)
- クローダ(怒り)
といい響きの神はいません。人間にとってはマイナスな神ばかりです。
ムリトゥユの誕生背景
この女神の物語は英雄物語「マハーバーラタ」に記載されています。
彼女の誕生の背景には、創造神ブラフマーと死ぬことのなかった生き物たちがいます。
~増えすぎた生命~
創造神「ブラフマー」は多くの生物を創造した。
だが、彼らは元々不老不死で死ぬことがなかったので、生き物が増えていき、そのあまりの重さに大地の女神ブーミを苦しませていた。
その問題を解決しようとしたが、ブラフマーにはその方法が思いつかなかった。
かんしゃくを起こした彼は、怒りの炎で全てを焼き尽くしてしまおうと考えてしまった。
ここで、破壊神シヴァが咄嗟に止めて、代わりに
「彼らが何度でも死に、そして何度でもこの世に戻れるシステムを作ろう」
今僕たちでも知っている「輪廻転生」の概念を提案した。
そして、この意見を聞いた創造神は輪廻転生に必要になる「死」を生き物に与える神として、女神ムリトゥユを創造した。
創造神ブラフマーでも「減らす」といういい案が思い浮かばなかったんでしょう。
それに対して「破壊神」シヴァが提案するというのはなんというか・・・・。
シヴァにブラフマーが提案するなら王道なんですが、破壊するものが創造するものに逆に提案するのは面白いですね。
ムリトゥユは心優しき女神だった
上のようにシヴァの意見を聞いたブラフマーが「死の女神」として創造したのがムリトゥユだったのですが・・・。
ラタトゥユは心が優しすぎる女神であった。
ブラフマーの命令「生き物を殺す女神になれ」という命令を拒絶し、役目を放棄して長い苦行生活にはいってしまいました。
優しい人間に「人を殺しまくる女神になれ」っていっても放棄されるだけなんで・・・・他にはいなかったのかな?
ムリトゥユ: 涙を流しながら人を殺す
そんなムリトゥユは心を閉ざして苦行生活を送っていました。
ですが、ブラフマーは懸命に粘り強く説得を続けたことで、嫌々役目を受け入れました。
ですが、嫌々役目を引き受けたところで仕事に対してやる気が出るわけではありません。
そもそも、ムリトゥユはこの役目に納得をしたわけでもありません。
ましてや、生き物を殺すことに対して何も感じなくなったわけではありません。
なので、この女神は生物・・・・特に人を殺害することを今でも嫌がり、そのたびに涙を流しています・・・・。
まとめ: ムリトゥユはこんな女神
今回は人間の根本的な問題である「死」を司る女神について紹介させていただきました。
死は誰でも恐ろしいものです。
ですが、それを与える神が全員喜んでその役目を果たしているわけではないということを、改めて考えさせられますね・・・。
というわけで今回のまとめ
- ムリトゥユはインド神話における「死」の女神
- 兄弟は皆人間にとってはマイナスな役目を持つ神
- 死なない人間が増えた結果、地上の危機に
- 創造神がキレて皆殺しにしようとしたところ、シヴァの助言で中断
- 代わりに死を与えることで解決
- その役目に創造されたのがムリトゥユ
- 当初は嫌がったが、渋々受け入れる
- 人を殺すたびに涙を流している