今回お話するのは
円卓最強の騎士
ランスロット
です。
ランスロットとは?
ランスロットはアーサー王伝説における円卓の騎士の一人。
「才色兼備、貴婦人への礼節、忠誠心、人格、強さ」その全てを兼ね備えた騎士。
「僕が考えた最強の騎士」が形となった者。
~ランスロットのプロフィール~
- 欧文表記: Lancelot,Launcelot
- 別表記1: ラーンスロット
- 別表記2: ランスロ
- 異名1: 湖のランスロット
- 異名2: 荷車の騎士
- 武器: アロンダイト(後世でついた名前)
- 初登場: キャクストン版第2巻3章
この他にも
- アーサー王の即位と欧州統一
- 円卓の騎士の冒険とロマンス
- 聖杯探索
- アーサー王の死
などに登場しています。
ランスロット: 円卓の最強の3騎士の1人
円卓の騎士において最も強い騎士たちは誰かと聞かれると、
の3人の名前が挙がる。
他の騎士達も一騎当千の強さを誇るが、特にこの3人は様々な武勲を立てている。
言うなれば、他の騎士達の中でも格別の強さを誇っている。
ただ、ラモラックは「同僚に囲まれ、4時間の死闘の末疲れたところで殺害」され、トリスタンも「不意をつかれて暗殺」されている。
ランスロットだけは、3人の騎士の中でもまた格別に強いということが何となく伺える。
ランスロット: 彼単独の物語
ランスロットは「アーサー王の死」においては、さらっと円卓の騎士の1人として登場しています。
つまり、ランスロットの生い立ちなどは記されていないという。
(当時のフランスでのランスロット人気から、特に記す必要もなかったぐらい知られていた騎士というのが原因)
そのランスロットの生い立ちや、彼単独の物語なども存在しており、
- ランツェレト(ランスロットの生い立ち)
- ランスロまたは荷車の騎士
が代表作です。
ランツェレト
この書物にはランスロットの生い立ちがしっかりと語られている。
恐らく「あなたはこの書物を読んでるから「アーサー王の死」にランスロットがいきなり出ても問題ないよね」って感じなのかも。
~誘拐されし騎士~
フランスの地方領主「バン王」の息子としてランスロットが誕生。
誕生して間もなく、バン王は即位したばかりのアーサー王の助けの為フランスを長らく留守にしていた。
その隙をつかれて攻め込まれ、領地を失う。
赤ん坊のランスロットは母エレインに抱えられて脱出するが、湖の畔で休憩中に湖の乙女ヴィヴィアンにランスロットが誘拐される。
その後、大きくなるまでヴィヴィアンに育てられたので「湖のランスロット」という二つ名で呼ばれるようになる。
最強かつ最高の騎士となることが定められていたランスロットなので、この出来事は湖の乙女にとっては誘拐ではない。
ただ、母親から見れば誘拐という形で、ランスロットと別れることになっている。
ランスロまたは荷車の騎士
「アーサー王の死」にも同じような物語があるのが、12世紀のフランスの作品「ランスロまたは荷車の騎士」である。
作品は「ランスロットが王妃を取り戻す冒険譚」となる。
謎の騎士がアーサー王を騙して王妃を誘拐する。
ランスロットは王妃を探すために、罪人や囚人が乗る馬車に躊躇しながらも乗り、数々の試練を乗り越えて王妃を救い、謎の騎士も決闘で打ち倒す。
そして、王妃の名誉を取り戻す。
しかし、王妃は「荷車に乗ることに少し躊躇したこと」を責めた。
「宮廷恋愛」という騎士道における理想の恋愛に反していたことが理由にあげられる。
荷車に乗るというのは騎士としての名誉を捨てることなのですが、王妃からすればそれすら躊躇わないのが騎士道に反しない行為だったからでしょう。
この責めたことに関しては、後に王妃は謝罪をしている。
ランスロット: ほとんど負けたことがない
ランスロットは3人の最強の騎士の中でも格別に強いです。
その強さはすさまじく
- 剣術・槍術・馬術に長けている
- 素手で人間の首を跳ね飛ばすほどの怪力
- 戦歴は殆ど負けなし(引き分けはある)
という強さがあり、その武勇は留まるところを知らず、もはやチートと言える域。
- 2体の巨人と同時に戦い殺害
- 500人近くいる騎士を3日で全員倒す
- ドラゴンを退治
- 正体を隠して、円卓の騎士の最強格たちと戦い全勝
- 変装して数十人もの追っ手から逃げる
などどいった武勲を築き上げるほど。
さらには、仲間の危機は見過ごせない性格であり、騎士としての行動・立ち振る舞いも完璧。
仲間からの信頼も厚いとかなんとか・・・・・・。
ランスロット: 王妃グィネヴィアとの不倫
最強・完璧を我が物にするランスロットのアーサー王への忠誠心は絶対といえるほど。
しかし、ランスロットの弱点は「恋に一途」なところであった。
ある女性から受けた取り計らいへの感謝がきっかけで恋に落ちてしまった。
その女性がアーサー王の王妃グィネヴィアであり、二人は恋に落ち、肉体関係を持つようになった。
元々、グィネヴィア王妃も王を愛していなかったわけではないが、結婚には乗り気ではなかった。
そして、ランスロットのアーサー王と同じく王妃への忠誠は、いつのまにか「禁断の恋」へと変わっていってしまったのである。
そして、その恋がきっかけで円卓の騎士は崩壊するのであった。
発狂したことがある
グィネヴィア王妃への一途な想いはすさまじく、イケメン故に数多くの女性からのアプローチもあったが、全て跳ね除けてきた。
しかし、グィネヴィア王妃に一途ゆえ女性関係で何回か悲劇が起こる。
アストラットのエレイン | ランスロットに恋をしたが、愛の告白は受け取ってもらえず。 そのまま恋煩いで亡くなってしまった。 ランスロットへの想いを書いた手紙を握りしめた遺体は、小舟に乗ってアーサー王への宮殿に辿り着き、アーサー王達は大いに悲しんだという。 |
カーボネックのエレイン | 魔法で王妃グィネヴィアに化けてランスロットを騙す。 ランスロットはグィネヴィアと間違えて子供を作ってしまう。 |
カーボネックのエレインとの関係で、ランスロットは王妃グィネヴィアに「浮気者!!」と罵られる。(王妃グィネヴィアも不倫していることは内緒)
これでランスロットは発狂して、一時行方不明になる。
ちなみに、この時できた子供は「ガラハッド」で、聖杯を手に入れた騎士となる。
最強の騎士の最期
負けなしの騎士ランスロット。
何をどうすれば死んでしまうのか最早分からない最強の騎士だが、そんな彼も人間。
いずれは死ぬ定めだが、どうやって死去したのか?
彼の最期は
- 円卓の騎士同士の内乱
- アーサー王の死
- 円卓崩壊後
の順番で追っていくと分かる。
円卓の騎士同士の内乱
ランスロットとグィネヴィア王妃の不倫が14名の騎士によってバレてしまった。
ランスロットは発覚を阻止しようと、その場で13名の騎士を殺害。
生き残った1名の騎士によって、不倫は王の耳に入った。
王妃は火あぶりの刑に処されるのだが、処刑日にランスロットと仲間たちは処刑場に救出に行く。
そして、そこでも数多くの仲間たちを殺害し、フランスに逃亡。
騎士ガウェインはこの事件で3人の兄弟を殺害され、他の騎士達もランスロットの征伐を後押しし内戦が勃発。
ランスロットと仲間たちはフランス国内でアーサー王の軍を迎え撃ち、モードレッドの反乱が起きるまで持ちこたえていた。
アーサー王の死
モードレッドの反乱で、ガウェインは死去。
死去する前に、ガウェインはランスロットに「アーサー王への援軍」を依頼。
アーサー王への忠誠心がなくなったわけではないランスロットは、援軍を送った。
ランスロット率いる軍はイングランドに上陸をしたが、その時には既に戦争は終わっていた。
アーサー王もすでに死去しており、ランスロットは援軍に間に合わなかった。
このことを悔いたランスロットはアーサー王とガウェインの墓参りをし、行方不明になったグィネヴィア王妃を探す旅に出るのであった。
一緒にいた仲間たちには「15日以内に戻ってこなかったら、自分の領土に戻る様に」と言い残し。
円卓崩壊後
グィネヴィア王妃を探して7~8日目に尼僧院で、ランスロットは彼女を見つけた。
グィネヴィアは自分たちの行いで戦争が始まり、数多くの騎士達を死なせてしまった責任からシスターとなっていた。
ランスロットは王妃に会えたことを喜んだが、彼女はランスロットにこう告げた。
以前のようには愛することはできない。
私たちのせいでこのような事態になってしまった。
お互いに二度と顔を合わせない方がいいのです。
あなたは自分の領土へ戻って、新しく妃を迎えてあげてほしい。
私のことは忘れてほしい
ランスロットは「あなたが俗世を捨てるなら私も捨てる」と宣言し、最後の口づけを願った。
だが、断られてしまった。
その後、ランスロットはベディヴィアがいる庵で修業し、司祭となった。
司祭となってから1年後、グィネヴィア王妃の容体を聞き急いで向かったが、彼女は到着前に死去。
グィネヴィア王妃はアーサー王の傍らに埋葬され、ランスロットも病気となった。
そして、死ぬまでの約6週間、ランスロットは水も食事もほとんど取ることはなかった。
ランスロットは亡くなり、遺体は「喜びの城」に運ばれ、そこで葬儀が執り行われたのであった。
まとめ: ランスロットはこんな円卓の騎士
今回は円卓の騎士の一人ランスロットについて紹介させていただきました。
円卓最強の騎士で、恋に一途であるというのは悪いことではないです。
ただ、愛した女性がマズかった。ランスロットのアーサー王への忠誠心はなかったわけではないので、本当に偶々愛した女性が破滅をもたらしてしまっただけです・・・・。
という訳で今回のまとめ
- ランスロットは円卓の騎士の1人
- 騎士として最強であり、ほぼ負けなしの戦績
- 赤ん坊のころに湖の乙女に誘拐された
- グィネヴィア王妃と不倫関係にあった
- 円卓内戦を引き起こしてしまった張本人
- 女性関係で発狂したことがある
- 円卓崩壊後は隠居生活を送る(グィネヴィア王妃を口説こうとはしていた)
- 最期は病気となり、死ぬまでほぼ飲まず食わず
コメント