今回お話するのは
神々の道具の製作神
トヴァシュトリ
です。
トヴァシュトリとは?
インド神話で一番有名な聖典「ヴェーダ」。
ここの世界において最初に誕生した創造主が「トヴァシュトリ」といわれています。
また、文献「マハーバーラタ」などでは、聖仙カシュヤパと女神アディティの息子とされています。
世界の創造主であり、工芸の神でもあるので、様々な道具・武具を作成もしています。
- インドラの武器: ヴァジュラ(金剛杵)
- 神々の飲み物: ソーマの盃
の2つが有名でしょう。
また、インド神話では神々がその力を振舞うことが多い中で、珍しく直接的には戦わない。
父 | ディアウス |
娘 | サラニヤ― |
娘 | サンジュニャ― |
息子 | トリシラス |
孫 | ヤミー、マヌ、ヤマetc… |
などの親族関係があるらしい。
トヴァシュトリの権能
前述したとおり、トヴァシュトリは様々な道具を作り上げてきました。
- インドラの武器: ヴァジュラ
- 軍神スカンダの槍
- 破壊神シヴァの三叉戟
- 神々の飲み物「ソーマ酒」の器
こういった様々なものを作り上げた話が多いですが、それと同じだけ重要な役割を果たします。
それは
- 天地のあらゆるものを飾り付ける
- 妊婦の胎内で赤ん坊の姿を決める
2番目は人間も動物も含まれることから、「ガルバパティ(胎の主)」とも呼ばれる。
雷神インドラとの確執
トヴァシュトリには3つの頭を持つトリシラスという息子がいます。
彼は維持神ヴィシュヌ神の化身の一人であり、トヴァシュトリの大事な子供でした。
ですが、雷神インドラに殺害されています。
理由として言われているのは
トリシラスの母はアスラ(悪魔)であり、トリシラス本人もアスラに好意的であったから
当然トヴァシュトリはこのことに激怒。
インドラを憎み、復讐として炎の中から魔神ヴリトラを作り出してしまったのであった。
ですが、このヴリトラはインドラが倒しています。
このヴリトラの死に関するエピソードは文献によって変わっており、
- スラー酒を飲まされて殺される
- 口の中をインドラがヴァジュラで刺し貫いて殺す
などが有名でしょう。
太陽神スーリヤの悩み解決
トヴァシュトリには娘が存在します。
- リグ・ヴェーダ: サラニュー
- プラーナ文献: サンジュニャ―
彼女は太陽神スーリヤと婚姻を果たし、妻になったといわれています。
ですが、サンジュニャ―はスーリヤの元から身代わりを置いて逃げ出してしまいました。
一体なぜか?身代わりを置くほど酷いDV夫だったのか?
答えは至極単純。
太陽神スーリヤの発する熱があまりにも熱く、耐えきれなかった。
だけです。
当然このことに困り果てたスーリヤはトヴァシュトリに頼み込みます。
私の放つ熱を何とかしてほしい
すると、トヴァシュトリは彼の持っている輝きを「1/8」だけ削り取りました。
このおかげで、スーリヤの熱問題は何とかなり、またサンジュニャ―と仲睦まじく暮らすことが出来るようになりました。
ちなみに、この時削り取られた「1/8の輝き」は
- 維持神ヴィシュヌの円盤
- 破壊神シヴァの三叉戟
- 軍神スカンダの槍
などに変わっていきました。
太陽の神の素材を使った武器です。強そう。
まとめ: トヴァシュトリとは
今回は工芸神であり、世界の創造主でもある神トヴァシュトリについて紹介させていただきました。
神話の世界は出典によってその働きや、関係性などが矛盾しています。
神話の世界ってそれだけ色々なところに引用されている証拠ということでしょう・・・。
という訳で今回のまとめ
- トヴァシュトリはインド神話の神様
- 創造主であり、工芸神である
- 胎内の赤ん坊の形を決定する力を持っている
- 神々の武器を作り上げたことで有名
- インドラに息子を殺され、復讐として魔神ヴリトラを生んだ
- 太陽神スーリヤの輝きを削り取り、神の武器として加工
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