今回お話するのは
インド神話の風の神
ヴァーユ
です。
ヴァーユとは?
ヴァーユとはインド神話の古代聖典「リグ・ヴェーダ」にその名を連ねる神様。
名前の意味は「風」であり、空を支配する軍神でもあるとのこと。
- 豊穣
- 子孫繁栄
- 福富
等を与えてくれる神様として信仰されています。
ヴァーユの正確な出生は不明とされていますが、
- アディティの子供
- 原初の巨人プルシャの息から生まれた
など複数の説があります。(後者が今は有力)
また、猿神ハヌマーンの父親でもあります。
ヴァーユの外見
そんなヴァーユの姿および性格は
- 容姿端麗
- 色白の青年
- 明るい性格
- 風のように開放的で奔放
- 豪快
といった外見や性格をしているといわれています。
また、乗り物は
- 赤い2頭の馬
- 赤と紫の引く馬車
- 黄金の馬車(インドラが乗車している時)
- 白い旗を伴った鹿(アグニ・プラーナ)
とされています。
ですが、これだけの記述がされておきながら「ヴァーユの視認性」についてこんな記述があります。
「ヴァーユの馬車が通り過ぎると、凄まじい風と雷の音が鳴り響き、その雷が点に達する時、暁が起こり、地に達する時は砂塵を巻き上げる。轟音が通り過ぎるだけであり、ヴァーユの姿は人には見えない」
インドラ神とヴァーユ
インドラは雷の神であり、ヴェーダにおいて最も重要視されていた神(最高神)です。
そんな神とヴァーユは深く密接に関わっていると言われており、「天・地・空」の3つの世界のうち、「空」をインドラと共に占める。
元々、ヴァーユは太陽神スーリヤ、火の神アグニと併せて「三大神」として信仰されていました。
その地位は時代と共に「インドラ」へと移り変わっていきましたが、そのインドラとは「友人か対等の地位・関係」があります。
神の酒ソーマをお互いに好み、それを率先して飲む権限も持っています。
また、前述したとおり「ヴァーユの乗り物」に搭乗する場合もあります。
後世のヴァーユ
ヴァーユには面白い逸話があります。
メール山を吹き飛ばし、その山頂がスリランカになった
ヒマラヤ山の峰の1つを力比べで海に倒す
吹っ飛んだインド神話では、まだ控え目な逸話です。
ですがそんなヴァーユも、時代が進むにつれてその地位が他の神に移り変わり、宗教的な地位は下がっていきました。
- ヒンドゥー教: 北西の方角と風を司る神
- 仏教: 風天
として、その他の宗教に取り入れられました。
(仏教の風神雷神の「風神」とは全く別で、地位的には風天の方が高いです。)
コメント