今回お話する悪魔は
悪魔の首領
サタン
です。
数多居る悪魔達のボス。つまり悪の親玉でもありますが、そんな悪魔のことを少し深堀していきましょう。
サタンとは?
サタンは聖書に登場する悪魔の一柱。
キリスト教における「憤怒」を体現する悪魔。
~サタン~
- 英字表記: Satan
- 別名: シャイターン
- 名前の意味: さまたげる者、中傷する者、訴える者
- 出典: 旧約聖書「創世記」、新約聖書「ヨハネの黙示録」
日本のエンターテイメント業界でも、その名前は知らない人は絶対にいないと言えるぐらいには有名な悪魔でもあります。
「憤怒」を体現する悪魔
人間はだれしも怒りに駆られることがあります。
特に「憤怒」になってしまうと、思考能力の低下となってしまい、普通であれば決して犯さない罪を犯してしまいます。
言い換えるならば「憤怒が人間を重大な罪に導く」ということです。
キリスト教ではこの「憤怒」はかなり重い罪に位置しています。
もちろん、ただ単に怒るだけでは罪にはならず、「怒った状態で他人に害を与えた時」に初めて罪となります。
ですが、前述したとおり「憤怒」は取り返しのつかない重大な罪につながります。
暴力、殺人、戦争などは完全に取り返しがつきません。
なので、キリスト教では「憤怒」は悪魔がもたらす罪であり、それを体現するのが悪魔「サタン」とされるのです。
聖書におけるサタン
聖書におけるサタンは2つの面を持ち合わせています。
- 悪魔
- 神の使い
特に「創世記」「ヨハネの黙示録」「ヨブ記」においてサタンの外見や行ったことなどが、しっかりと描かれています。
それぞれ見ていきましょう。
創世記
創世記において、サタンの存在を示唆するものが一番有名な「アダムとイブ(イヴ)」とされます。
原初の人類とされている「アダムとイブ(イヴ)」。
2人はエデンの園で何不自由なく過ごしていましたが、園の中央に生えている果実だけは食べてはいけない。
食べると死んでしまうと言われており、それを2人は厳しく守っていた。
そんなある日、園で最も賢い「蛇」がイヴを誑かした。
「園の中央の実を食べるといいよ。食べても死にはしない。それどころか目が開き、神のように善悪を知るようになれるのだよ。」
このように言葉巧みに誑かしてイヴは知識の果実を食べてしまい、結果として2人はエデンの園から追放されたのであった。
聖書には「蛇」とだけ記述されていますが、キリスト教徒の伝統ではこの蛇は「サタンが変身した姿」と解釈されるそうです。
ヨハネの黙示録
ヨハネの黙示録ではサタンの姿が記述されています。
また、もう一つのしるしが天に現れた。
見よ、火のように赤い大きな竜である。
これには7つの頭と10本の角があって、その頭には7つの冠を被っていた。
・・・・・
この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとかよばれているもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされたのである。
その使い達も、もろともに投げ落とされた。
後世では人・天使に近い姿ともされています。
- 頭から角を生やしている
- 頭の後ろ側にも顔を持つ
- 全身が毛むくじゃら
- 肌の色は黒か赤
- コウモリのような2枚の翼を持つ
このような姿で絵画が描かれることがあります。
ルシファーと同一の存在?
ルシファーとサタンの違いはあるのか?
旧約聖書では「明確に違い」があったのですが、「新約聖書」以降ではこの辺りがあいまいとなり、「ルシファー = サタン」と見なされることが多いです。
「ルシファーが魔王であり、サタンはその配下」となる場合が中世文学では散在する。
ですが、「失楽園」では実質「ルシファー = サタン」と解釈されています。
- サタンが天使の時の名前は別にある
- サタンの栄光と輝きを例える場合の言葉が「ルシファー」
- 堕天した時にサタンの名前は消え、「サタン(反逆者)」だけが残った
といわれています。
また、新約聖書の「ヨハネの黙示録」でサタンのことは「魔王」として記されており、この時には既に「サタン = ルシファー」といった認識が強めです。
その一方で、旧約聖書では完全に別物として扱われます。
- サタン: 神の僕・神の使い
- ルシファー: ただの金星
このルシファーをオリゲネスという古代キリスト教の神学者が、「堕天使と誤読」したと考えられています。
こういった神学者の影響もあり、
「ルシファーは最初、熾天使という最高位の天使であったが、神に対する傲慢な考えから神に対し反乱。その罪で堕天使・サタンと呼ばれるようになった。また、その際に多くの天使も連れて行った」
ルシファーとサタンの使い分けは中々難しく、「違う」ともいえるし、「同じ」ともいえます。
こんなこと言えば身も蓋もないですが、創作物をするときには、「矛盾」が生じないようにするしかないでしょう。
神からの使い
悪魔の頭目として名高いサタン。
ですが、旧約聖書の「ヨブ記」では「神の使い」として描かれています。
サタンの言葉の意味「妨げる者」「中傷する者」「訴える者」が、ここではしっかりと記載されています。
序盤と一部抜粋します。
ある日、主の前に神の使い達が集まり、サタンも来た。
主はサタンに言われた。
「お前はどこから来た。」
「地上を巡回しておりました。ほうぼうを歩きまわっていました。」
主はサタンに言われた。
「お前はわたしの僕ヨブに気づいたか。地上に彼ほどの者はいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。」
サタンは答えた。
「ヨブが、利益もないのに神を敬うでしょうか。あなたは彼とその一族、全財産を守っておられるではありませんか。彼の手の業を全て祝福なさいます。お陰で、彼の家畜はその地に溢れるほどです。ひとつ、この辺で彼の財産に触れてごらんなさい。面と向かってあなたを呪うに違いありません。」
この結果として、ヨブはサタンから様々な試練を課され、ヨブはそれを全て受け入れて試練を乗り越えます。
サタンは神に対して、反対の意見を述べる政治の「野党」的な存在であったとされる。
だが、この信心深いヨブに対するサタンの試練は、後の世に「神と人間の間に敵対する悪魔からの妨害」として見られていくようになった。
サタンが「神の使い」から「悪魔」として固まったのはおよそ6世紀頃らしい。
まとめ: 7大悪魔の1柱「サタン」
今回は7大悪魔の1柱「サタン」について紹介させていただきました。
サタンって聖書とかで呼んでいると「憤怒」を体現した悪魔らしい記述は見当たらないんですよね。
心当たりがある方にぜひ教えていただきたいぐらいです・・・・。
という訳で今回のまとめ
- サタンは7大悪魔の1柱
- 「憤怒」を体現する悪魔
- 創世記ではイヴに果実を唆した蛇と解釈されている
- 旧約聖書では「神の使い」として描かれている
- 新約聖書では「7つの頭に10個の角を持つ竜」という姿が記述されている
- 古い時代では「サタン ≠ ルシファー」
- オリゲネスの解釈以降「サタン = ルシファー」と見なされることが多い
コメント