【アーサー王伝説】第21巻8章 ランスロットの帰還
一方、ランスロットはガウェインからの手紙を読み、イングランドで起きていることを知った。
愛するグィネヴィア王妃が幽閉されていること、モードレッドが父であるアーサー王に戦いを挑んでいること、そして、ガウェインのことが記されていた。
ランスロットは7人の王と共に、ドーヴァーに上陸。
だが、すでに戦いは終わっており、アーサー王のこと、モードレッドが死亡したことを人々から聞いた。
ランスロットは、自分が戦いに間に合わなかったことを知り、非常に悲しみ、 ガウェインが眠る城まで向かうことにした。
ランスロット達は人々に連れられて、ガウェインが眠る城に辿り着いた。
ガウェイン卿の墓の前でランスロットはひざまずき、涙を流して心から祈りを捧げた。
そして、一行は三日の間、死者の為に祈りを捧げるのであった。
ランスロットは3日目に、15日以内に戻れなかったら自分の国に戻るように騎士達に言い残し、 グィネヴィア王妃を探しに行くのであった。
主な登場人物
物語の感想
ランスロットは知らせを聞いて大急ぎできたが、結局間に合わず。
確かに、ガウェインが手紙を書いてから1週間も経過はしていないはず。
如何に世界で最も優れた騎士であっても無理なものは無理だった。
その後ガウェインの墓で大いに涙を流し、心の底から祈りを捧げた。
兄弟を殺してしまい、一度は本気で殺し合った中であっても、お互いに心の底から大切な仲間であった事が伺える。何処で道を間違えたのか。王妃と禁断の恋に落ちた時なのか、ガウェインの兄弟を殺した時なのか。
今となっては、誰も知ることはできない。ただ、友が死に、目の前の墓に眠っているという事実があるだけである。
もう一つ気掛かりなのは王妃のこと。手紙で状況は知っていたが、どうなっているのかは探さないといけない。
15日以内に帰って来なかった国に戻るように。
この言葉はランスロット程の優れた騎士であっても、15日以内に何か身に危険が及ぶと察しての事だろうか。
それだけ国は荒れており、事実、ランスロットに付き従った騎士の多くは殺されている。
そこまでの危険を背負いながらも王妃を探しにいくのは、やはり愛ゆえなのだろう。
出典: トマス・マロリー「アーサー王物語 5(筑摩書房)」
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