今回お話するのは
円卓の騎士の崩壊
円卓の騎士の内戦
のお話です。
世界を統一した最強の王国にとって一番恐ろしいのは、内部の崩壊というのが一番わかりますね・・・。
出典: トマス・マロリー「アーサー王物語 5(筑摩書房)」円卓崩壊とは?
アーサー王とその臣下でもある円卓の騎士達。
様々な試練を乗り越え、ブリタニアを平定し、騎士たちが様々な冒険を繰り広げていた。
だが、そんな王国もいずれは崩壊を迎える。
円卓崩壊は「アーサー王の死」という作品で描かれている円卓の騎士達の物語の出来事です。
「アーサー王伝説」には数多くのお話がありますが、この円卓崩壊は最も有名なお話ではないでしょうか。
円卓崩壊の3つの原因
なぜ、アーサー王に高い忠誠心を誓った騎士達が崩壊したのか?
ブリタニアを平定し、外敵と呼べる外敵も存在していなかった平和な国が何故崩壊したのか?
それには主に3つの要因があります。
- ランスロットとグィネヴィア王妃の不倫
- モードレッドの野望
- 円卓の騎士同士の溝
それぞれ見ていきましょう。
ランスロットとグィネヴィア王妃の不倫
グィネヴィアはアーサー王の妃です。
ランスロットは「礼儀作法が完璧で円卓の騎士の中で最強なハンサム男子」という完璧超人。
そんな彼が愛したのが王妃グィネヴィアであり、アーサー王への絶対的な忠誠心もいつの間にかグィネヴィアへの恋心と変わっていった。
当のグィネヴィアもアーサー王のことを愛していなかったわけではないが、もともと結婚には乗り気ではなかった。
そして魔術師マーリンが予言したとおり、グィネヴィア王妃はランスロットとの不倫に酔いしれたのであった。
(マーリンの予言は絶対に外れることがなく、遠回しにアーサー王へ忠告はしていた)
モードレッドの野望
モードレッドは円卓の騎士の中でも不運な騎士。
5月1日に生まれた時に魔術師マーリンに
5月1日に生まれた子が将来国を滅ぼす
と助言を受けたアーサー王によって川に流され、無事に助かった過去を持つ。
その後は騎士になり、アーサー王に仕えたが様々な企みを企てた。
- アグラヴェインと共にランスロットの不倫を暴く
- 内戦の時に邪心を抱き、王になろうとした
1番目は「円卓の騎士同士の争い」を引き起こし、2番目は「アーサー王との戦争」を引き起こしてしまう。
彼の起こした出来事が円卓の騎士全てを崩壊させる要因になった。
騎士同士の埋まらない溝
ランスロットとグィネヴィア王妃の不倫を白日の下に暴こうとしたアーサー王派の騎士達は、14人で2人の不倫現場に突入。
現場を押さえたはいいものの、証拠隠滅を図ったランスロットにより以下の者たちが殺害された。
13名が殺害され、モードレッドのみが生き残り、ランスロットの不倫は明るみとなった。
このことで、アーサー王派の騎士達とランスロット派の騎士達の間には大きな亀裂が入った。
だが、決して埋まることのない大きな溝になったのは「王妃グィネヴィアの処刑日に起こった悲劇」が原因。
処刑の日にランスロットは仲間の騎士と共に処刑場に乱入。
アーノルド | アグロヴァル |
カイヌス・ル・ストラング | ガレス |
グロモー・ソーム・エリオ― | セグワリデス |
ダマス | トー |
ドリアント | パートレープ |
ハーマインド | ブランディリス |
プリアマス | ペリーモンズ |
ベリンガー・ル・オーグラス | ガヘリス |
を含む数多くの非武装の騎士達が殺害された。
特にガレスとガヘリスは「ガウェイン」の兄弟であり、非武装の騎士が殺されたことによる怒りはとまることなく、かつての仲間へと向けられていったのであった。
2回起きた円卓内戦
円卓の内戦は大きく2回に分けて起きています。
- ランスロット派との戦い
- モードレッド派との戦い
の順番で発生しています。
それぞれ見ていきましょう。
ランスロット派との戦い
王妃の処刑の日に数多くの円卓の騎士を殺害したランスロットとその仲間。
彼らはフランスのランスロット領にある城に軍と共に立て籠もった。
対し、数多くの仲間や兄弟を皆殺しにされたアーサー王派の軍が攻め入ることとなった。
3人の兄弟を殺されたガウェインは「午前中に3倍の力を発揮する」という力を持っており、ランスロットと何度も決闘を繰り広げた。
しかし、ランスロットは円卓の騎士最強であり、逆にガウェインは深手を負ってしまう。
このように、両軍の戦いは熾烈さを極め、お互いに数多くの死者を出してしまった。
だが、この時本国のブリテンからある知らせが届いた。
ブリテンを守護しているモードレッド卿が反乱を起こした
モードレッドとの戦い
信頼していたモードレッドの裏切りの一報を聞いたアーサー王とガウェイン達は、急いでブリテン島に帰国。
そこでも何度か戦い、和平交渉までこぎ着けたが「和平成立の宴で、騎士の1人が蛇にかまれて剣を抜いてしまった」ことで和平は崩壊。
両軍は再び激しく戦い、戦いの最中ガウェインも致命傷を負ってしまう。
彼はランスロットに援軍の手紙を送り息絶えてしまう。
そして、両軍は「カムランの丘」で決戦を繰り広げ、アーサー王とモードレッドは一騎打ち。
両軍はこの最後の戦いでほぼ全滅。
モードレッドは死に、アーサー王も頭に致命傷を負った。
円卓の生き残りの騎士達
2回の内戦により完璧に崩壊した円卓の騎士。
アーサー王と和解し、モードレッドの反乱に参戦しようとしたが間に合わなかったランスロット。
彼は出家し、昼夜問わずアーサー王への贖罪の祈りを捧げ続けた。(この時後悔してシスターになったグィネヴィアを口説きはしていた)
ランスロットは王妃も亡くなり、最期は病気になり、飲食をほとんどすることなく死去。
生き残った騎士達の中には、平穏に暮らす者や異教徒と戦い散っていった者もいます。
どういった経緯を送ったかは騎士によって変わりますが、今後も円卓の騎士を彼らが結成することはなかったと考えられる。
まとめ: 円卓の騎士崩壊
今回はブリテン島を支配した円卓の騎士が崩壊した物語を紹介しました。
ランスロットもモードレッドも悪いのですが、アーサー王もしっかりとマーリンの助言を聞いておけばこんなことにはならなかったのかもしれません・・・。
という訳で今回のまとめ
- 円卓の騎士は2回の内戦で完全に崩壊
- ランスロットと王妃グィネヴィアが不倫
- ランスロットが不倫現場で騎士を殺害し、騎士同士の争いに
- ランスロットとアーサー王の内戦が発生
- モードレッドがアーサー王に反旗を翻す
- 最期の戦いで円卓の騎士が完全に崩壊
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