今回お話するのは
クー・フーリン活躍の物語
アルスター神話
です。
インド神話もたいがいですが、このクー・フーリンも大概の強さを表しています。
アルスター神話とは?
アルスター神話はアイルランド神話の第二の時代における物語。
ダーナ神族が人間に地上の支配権を譲り渡し、約1100年経過した後のアイルランド。
アイルランド北東部に位置する「アルスター王国」。
島の全ての国を同時に敵にしても戦えるほどの軍事国家であったが、度重なる問題により軍事力が弱体。
さらには王の残酷さや卑劣さから、有能な戦士が次々と相手の国に亡命。
ついに戦える戦士はある男一人だけ。その男の物語でもあります。
最強戦士クー・フーリンの戦いを描く物語
この戦える男の名前が「クー・フーリン」というアルスター王国の王の妹デヒテラの息子。
最強の戦士であり、「アルスター神話=クー・フーリン神話」と言い換えても間違いではないでしょう。
クー・フーリンは最終的にある戦いで死亡してしまいますが、その戦いでは大軍を一人で数か月間にわたって足止めしています。
(毎日一人の戦士と一騎打ちをして、クー・フーリンが勝利すれば、相手はその場で野営するという条件ではあります。)
アルスター神話: 群雄割拠のアイルランド
アルスター神話は紀元前1世紀ごろの物語。
「アイルランド4王国」(実際は5つの国があるが、1つはアイルランド統一王の直轄領土なので4王国には含まれない)が相争う時代でした。
アルスター王国 | アイルランド北東の国 クー・フーリン所属の国であり、元々は下の3国を同時に相手しても勝つことが出来るほどの軍事国家。 神話が始まった時点ではかなり弱体化している |
コナハト国 | アイルランド北西の国 アルスター王国の宿敵国家であり、アリル王と女王メイヴが統治している。 アルスター王国から亡命した戦士を数多く受け入れており、物語開始時点でかなりの軍事国家となる |
マンスター王国 | アイルランド南西の国 国土面積は4国の中で最大だが、険しい山岳・丘陵地により国力自体は低め。 |
レンスター王国 | アイルランド南東の国 アルスター王国と対峙するもう一つの宿敵国家。 フィアナ神話のフィン・マックールがこの国の出身。 |
アルスター王国の戦士と王
ここで、アルスター王国の国王や勇士を紹介していきます。
王 コンホヴァル・マク・ネサ | アルスター王国の王様。 冷酷であり、独善的な人間なので、自分の個人的な理由で部下のプライドを踏みにじる。 挙句多くの部下がコナハトに亡命される人望無き王 |
戦士 コナル・ケルナッハ | アルスター王国の直属の精鋭部隊「赤枝の騎士団」の戦士。 「勝利のコナル」という異名を持つ最強の戦士。 だが呪いには勝てず、戦う力を失ってしまっている。 |
戦士 クー・フーリン | アルスター王国の直属の精鋭部隊「赤枝の騎士団」の戦士。 コナハトとの戦いのとき、たった一人でしか戦えなかった。 ただ、最強の戦士らしく大軍を一人で抑えた戦士。 |
コナハト王国などの戦士と王
コナハトに亡命した戦士や、その他の国の戦士を紹介します。
王 アリル | コナハトの正式な王様だが、妻メイヴの尻に敷かれている。 妻に牛を自慢したために、アルスター王国との戦争にまで発展。 |
戦士 フェルディア | コナハト王国の最強の戦士。 かつて「影の国」でクー・フーリンと共に修行した大親友。 戦争ではクー・フーリンとの戦いを拒否し続けたが、最終的に4日間の死闘を繰り広げ戦死。 |
戦士 フェルグス・マク・ロイ | 元アルスター王国の赤枝の騎士団の戦士。 コナルと並ぶほどの最強の戦士であったが、王のせいでコナハト王国に寝返る。 クー・フーリンのことを敵視はしていない。 |
戦士 ドゥフタハ | 元アルスター王国の赤枝の騎士団の毒舌の戦士。 フェルグスと同じく、王のせいでコナハト王国に寝返る。 卑怯な戦術を考えるので、フェルグスに放り投げられたりしている。 クー・フーリンを敵視している。 |
戦士 コンラ | クー・フーリンの子供。 「影の国」での修行時に、クー・フーリンが女戦士オイフェを倒して産ませた。 成長後、クー・フーリンと決闘をすることとなったが、お互いに顔も知らなかった。 父は妻のおかげで自分の子であると知ったが、国のために倒すと決闘を受け入れた。 最期はゲイ・ボルグで命を落としている。 |
戦士 ネラ | 「ネラの異界行」という物語に登場するコナハトの戦士。 妖精軍の味方の砦の破壊を防ぐために、人間界と妖精界を行ったり来たりの冒険を繰り広げる。 冒険を終え、妖精界に住居を構える。 |
アルスター神話: 夫婦喧嘩で国家間の戦争に
コナハト王国とアルスター王国の最大の戦争は「コナハト王国の夫婦喧嘩」が原因です。
農耕と牧畜で生活しているアイルランド人にとって、最大の財産は「牛」。
ある日、コナハト王の夫婦は互いに所有する財産を競い合いました。
王アリルは「フィンドヴェナハ(白角)」という雄牛を見せびらかしました。
それに嫉妬した妻メイヴは「隣国アルスターの名牛「クーリーの赤牛」を盗み、夫の鼻を明かしてやる」とアルスター王国に戦争を仕掛けました。
こうして、アルスター王国とコナハト王国との戦いが始まり、戦士クー・フーリンの最大の戦いが始まっていきました。
アルスター神話に登場する女神
ここで、アルスター神話に関係する女神たちの名前を一部連ねていきます。
モリガン | クー・フーリンに求愛し、フラれて激怒。 何回も復讐を行おうとしてその度に返り討ちにあった。 和解はしている 見に行く→ モリガン |
マッハ | 3回生まれ変わりをした女神。 3回目の生まれ変わりの時、アルスター王との馬と競争をさせられる。 競争には勝利したが、その直後に双子を産んで命を落とした。 その際、アルスター王国の男たち全員に呪いをかけた。 見に行く→ マッハ |
ネヴァン | 上の2柱の女神と併せて「3柱で1組の戦いの神」とされている。 アルスター神話の主人公「クー・フーリン」の死を予言し、最期にその死を看取った。 見に行く→ ネヴァン |
ディアドラ | アルスター神話の物語の序盤に登場する女神。 アルスター王の家臣の娘であったが、「アルスターの男に死と破滅をもたらす」と予言されていた。 王の妻として匿って育てられていたが、ある男と駆け落ちをし、王の怒りを買う。 王の策略によって「駆け落ちをした男性」を殺害され、自らも命を絶った。 見に行く→ ディアドラ |
まとめ: アルスター神話はこんな物語
今回はアイルランド神話の2番目の時代アルスター神話について紹介させていただきました。
呪いもあったとはいえ、アルスター王の人格のせいで国が滅びかけるのはなんというか・・・・・。
という訳で今回のまとめ
- アルスター神話はアイルランド神話の2つ目の物語
- 人間が主人公の群雄割拠の時代
- クー・フーリンの無双物語
- 呪いで戦えなくなったアルスター王国の騎士団に代わってクー・フーリンが一人で戦う
- アルスター王国とコナハト王国の戦争がメイン
- 夫婦喧嘩から戦争が始まった
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