今回お話するのは
魔性の女
グラーニャ
です。
グラーニャとは?
グラーニャはケルト神話における女性の1人。
ケルト神話の中のフィオナ神話に登場し、活躍しました。
~グラーニャのプロフィール~
- 欧文表記: Grainne
- 別表記1: グラーニア
- 別表記2: グラーネ
- 名前の意味: 醜悪、太陽
グラーニャの名前
彼女の名前には本来「醜い女」「醜悪」、「嫌悪の情を催させるもの」といった意味があります。
「醜い女が正当な統治者と婚姻を行うことによって美女となる」魔女の要素を含んでいると言われています。
元々奔放でわがまま、気まぐれな女性であったが、礼儀作法は完璧な彼女からはとても考えられない名前です。
グラーニャ: フィンの婚約者だが・・・
グラーニャはフィオナ騎士団の団長「フィン・マックール」の2番目の婚約者であった。
しかし、この時すでに老齢であったフィンに対してグラーニャは
英雄ではあるが、結婚したいとは思えない
と内心内気であった。
そこで、別の男性と恋に落ちることを画策するのであった。
そして、これがフィンとその男の信頼関係の崩壊の始まりでもあった。
グラーニャ: ディルムッドとの駆け落ち
彼女はフィンとの婚約披露宴の時にその計画を引き起こすのであった。
彼女の狙いは2人の男性
- フィンの息子: アーシン
- フィンの家臣: ディルムッド
であった。
~男との駆け落ち~
グラーニャはフィンとの結婚披露宴で、飲み物に眠り薬を盛った。
しかし、あらかじめ選んでおいた2人だけは眠らさなかった。
最初に狙っていたフィンの息子アーシンに対し
「私を連れて逃げてください」
と言い寄ったが息子は
「父の女は奪わない」
というゲッシュ(破ってはいけない制約)の為に断ったのであった。
次にグラーニャは「若く強い」ディルムッドに対し、同じように迫った。
彼は高い忠誠心から
「私は団長フィンに対して忠誠を誓っています。そもそも、あなたは花嫁の責務を放棄してはいけません」
と諫めたが、グラーニャはこのことに怒り、
「皆が起きる前に私を連れて逃げなければ破滅が訪れる」
というゲッシュを与えてしまった。
このせいでディルムッドはグラーニャと駆け落ちをするしかなかった。
長い逃亡生活と受け入れ
ディルムッドはグラーニャと逃亡生活を余儀なくされた。
そのことを知らなかったフィンは、彼が自分の妻を連れて逃げたと憤慨。
騎士団を追跡に遣わした。
追っ手を、仲間、神、ディルムッドの力と知恵で何度も振り切った。
この逃亡生活の最中でも、フィンへの忠誠を失っていなかったディルムッドであったが、グラーニャは誘惑をし続けた。
結局、彼女は夫の愛をかき立てることに成功。
ディルムッドもまた、彼女と交わり、愛を受け入れるのであった。
許しと夫の死
長い追跡の成果も上がらず、フィオナ騎士団の方は損害と痛手を与えられていた。
そして、オェングスの仲介を経て、フィンも苦渋の末に2人を許すのであった。
フィンの許しを得て、グラーニャとディルムッドは晴れて夫婦となった。
その後、4人の息子と1人の娘にも恵まれ、多大な富もあり幸せに過ごしていた。
しかし、フィオナ騎士団とは完全に疎遠になっていた。
このことを気にしたグラーニャは夫を説得し、「フィンと騎士団」を狩猟宴に招いた。
ディルムッドたちはこの時狩りに向かい、事故で瀕死の重傷を負ったが、夫に恨みを持っていたフィンに見殺しにされてしまったのであった。
グラーニャ: 最後は・・・・
夫を失ったグラーニャのその後は複数あると言われています。
- 夫の後を追うように亡くなった
- フィンの妻となる
後者の方を少し詳しく話すと
夫を失ったグラーニャは深く悲しんで、息子たちにフィンへの復讐を誓わせるほどであった。
ただ、その悲しみも年が経つと薄れていった。
それに対し、フィンも元婚約者を取り戻そうとし、時間をかけて口説いた。
結局、フィンとの結婚を同意しグラーニャは再婚をしたのであった。
このことに対し、当然フィオナ騎士団は冷ややかであった。
団長は歴戦の勇士であり、忠誠心高かったディルムッドを見殺しにし、グラーニャを妻として迎え入れた。
フィオナ騎士団員達は侮蔑と嘲笑を持って迎え入れ、グラーニャと騎士たちの間は常に冷ややかだった。
それでも、正式な妻として認められたグラーニャはフィンと共に死ぬまで暮らしたのであった。
まとめ: グラーニャはこんな女性
今回はフィオナ神話の女性グラーニャについて紹介させていただきました。
この話はグラーニャが魔性の女として描かれており、たった1人の女性で主従関係がいとも簡単に壊れてしまうことが分かりますね・・・。
という訳で今回のまとめ
- グラーニャはフィオナ神話に登場する女性
- フィン・マックールの婚約者であった
- ディルムッドに迫り、無理やり駆け落ちを果たす
- 長い逃亡生活の上許しを得てディルムッドと夫婦に
- 恨みを持っていたフィンの策略によって夫が死亡
- ディルムッドと再婚を果たす
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