【アーサー王伝説】第1巻1章 「ユーサー王とイングレイン」
アーサー王の父、ユーサー王がイングランドを支配していた頃のお話。
敵対していた領主の奥方のイングレインに恋心を抱いた。
床を共にしたいという、ユーサー王に対しイングレインは拒否。
ユーサー王は怒りのあまり、イングレインの城を包囲し、戦いが起きた。
だが、戦いの途中ユーサー王が病気になり、解決の為に魔術師マーリンが呼ばれるのであった。
主な登場人物
- ユーサー王
- イグレイン
- ティンタージェル公
- ウルフィアス
- マーリン
物語の感想
アーサー王伝説の偉大なる物語の始まりは、
という割と低俗な考えから。。。といいますか、権力者は基本何でも思い通りになり、そうはならない場合は力で奪い取るという「暴力が全てを解決する時代、力ある者が正義」でした。
そのため、この物語の導入は一見敵役の行動に見えてしっかりとした「正義」側の行動なのです。(ただし、物語の展開によって示されるように、力と怒りは解決策ではなく、新たな問題を引き起こす可能性があることを暗示しております。)
そして、ユーサー王は怒りと恋心から病気になったという。
(「クレランボー症候群」というのがありますが、それに近いものでしょうか?)
そんな王に助言を与えたのはマーリン。
さらっと「王を救えるのはわしだけだ。褒美をくれて、望みを叶えるなら、王自身の名誉や徳になる。」と中々に俗っぽいことを言っていますが、魔術師なだけで賢者とか隠者とかではないですからね。
ある意味働きに対価を求めることが出来る仕事人と言いますか。。。。
この章は愛と欲望、ユーサー王とイングレインの間に生じた葛藤や戦いは、人間の弱さや欠点(後々の優れた騎士ランスロットにも同じことが言える)を浮き彫りにしていますね。
出典1: トマス・マロリー「アーサー王物語 1(筑摩書房)」
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