今回お話するのは
アーサー王の死
「グィネヴィア王妃誘拐事件」
です。
日本のアーサー王伝説の中で恐らく一番有名な書物の19巻の紹介です。
「アーサー王伝説」とは?
日本で一番有名なアーサー王伝説と言えば、「アーサー王がランスロットと内戦~」「モードレッドが~」とかあると思います。
実はこの「アーサー王の死」というのは、「15世紀のフランスの作者トマス・マロリー」が、
- アーサー王列王史
- キルッフとオルフェン
- マビノギオン
- 流布本
などの比較的短い文学作品を「まとめて」新しい物語にしたものです。
なので、「アーサー王の死」は「アーサー王伝説の原典」ではなく、「様々な古い書物から、アーサー王の一生を作り上げよう」といった目的で作られた本ともいえます。
この辺りはまた、細かく記しておきます。
アーサー王の死の中身
この「アーサー王の死」の中身は、大まかに分けて「21巻 507章」あります。
- 1~5巻: アーサー王の物語
- 6~12巻: 騎士たちの物語
- 13~17巻: 聖杯探索
- 18~21巻: 円卓崩壊
主にこの4つに話は分類されていきます。
基本的にどの話にもランスロットが絡んでいますが、騎士たちの物語も面白いものです。
また、トリスタンとイゾルデの物語は、この「アーサー王の死」の中で最も大きい物語で、全体の1/3を占めています。
ここでは巻のお話をいたします。
第19巻 「グィネヴィア王妃誘拐事件」
第19巻は「グィネヴィア王妃誘拐事件」と「騎士アリーの治療」を巡る、ランスロットの冒険について15章を使って記している。
メリアガーントは王妃グィネヴィアを愛しており何とか自分のものにしたいと企んでいたが、常に側にいたランスロットのせいで実行に移せないでいた。
5月にグィネヴィア王妃は数人の護衛の騎士と共に花摘みに向かい、ランスロットは偶々近くにいなかった。
そこでメリアガーントは160人近くの部下を連れて王妃を襲撃し、誘拐した。
王妃は何とかしてランスロットにメリアガーントの企みを伝え、ランスロットは王妃の救出にメリアガーントの城に向かった。
道中困難がありながらも王妃を救出、メリアガーントは必死の命乞いにより王妃と和解した。
しかし、その日の夜にランスロットと王妃の不貞をメリアガーントに暴かれてしまい、アーサー王に告発すると言われるのであった。
ハンガリーの騎士アリーがスペインで「この世で最も優れた騎士でなければ治すことが出来ない」傷と呪いを受けた。
アリーと家族はその傷を治すために7年もの間諸国を巡り、最後に円卓の騎士が集うキャメロットを訪れた。
最初にアーサー王が挑戦したが、アリーの傷口が悪化しただけで失敗した。
他の円卓の騎士達も全員が挑戦をしたが悉く失敗。
最後に挑戦したランスロットが傷口に触れるとたちまち治った。
アリーは翌日に槍試合を行い、素晴らしい活躍をしたことで円卓の騎士に任命された。
その一方、アグラヴェインがランスロットを辱めるために策を練っていた。
登場人物
人物名 | 簡単な説明 |
ランスロット | 円卓で最も最強の騎士。 文武両道で容姿端麗。 騎士道を尊重するが、グィネヴィア王妃のためらな騎士道を捨てるほど愛が深い。 |
グィネヴィア王妃 | アーサー王の妻であるが、ランスロットのことを色々とありながらも愛している。 |
メリアガーント | バグデマグス王の息子で、円卓の騎士の1人。 グィネヴィア王妃に異常な愛情を抱いていたが、ランスロットが邪魔で仕方なかった。 |
アリー | ハンガリーの騎士。 スペインでのとある試合で「この世で最も優れた騎士にしか解除できない呪い」をかけられてしまい、長いこと苦しんでいた。 |
物語の見どころ
グィネヴィア王妃を愛していた円卓の騎士が王妃を誘拐し、ランスロットが王妃を取り返すために単騎戦いに挑む。
その戦いでランスロットが窮地に落とされ、「騎士道精神」を捨ててでも王妃への愛の為に戦い抜く。
王妃を救った後もさらにひと悶着あり、ランスロットはピンチに陥るがそこでも王妃への愛の為に乗り越える姿は「愛に生きる騎士」という言葉に相応しい行動力と言える。
物語の最後には「傷ついた騎士アリー」を治療する為に100人の騎士が参加。
アリーは「この世で最も優れた騎士」でないと一生治せない呪いが掛けられていた。
その時生きていたアーサー王含む円卓の騎士全員が治療に失敗する中、最後に挑んだランスロットが治すことに成功。
ランスロットとグィネヴィア王妃の愛を深めると同時に、ランスロットが改めて優れた騎士であるという事が記されている。
(また、最後にアグラヴェインによる不穏な動きが記されている。)
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