今回お話するのは
アーサー王の死
「円卓の騎士内乱」
です。
日本のアーサー王伝説の中で恐らく一番有名な書物の20巻の紹介です。
「アーサー王伝説」とは?
日本で一番有名なアーサー王伝説と言えば、「アーサー王がランスロットと内戦~」「モードレッドが~」とかあると思います。
実はこの「アーサー王の死」というのは、「15世紀のフランスの作者トマス・マロリー」が、
- アーサー王列王史
- キルッフとオルフェン
- マビノギオン
- 流布本
などの比較的短い文学作品を「まとめて」新しい物語にしたものです。
なので、「アーサー王の死」は「アーサー王伝説の原典」ではなく、「様々な古い書物から、アーサー王の一生を作り上げよう」といった目的で作られた本ともいえます。
この辺りはまた、細かく記しておきます。
アーサー王の死の中身
この「アーサー王の死」の中身は、大まかに分けて「21巻 507章」あります。
- 1~5巻: アーサー王の物語
- 6~12巻: 騎士たちの物語
- 13~17巻: 聖杯探索
- 18~21巻: 円卓崩壊
主にこの4つに話は分類されていきます。
基本的にどの話にもランスロットが絡んでいますが、騎士たちの物語も面白いものです。
また、トリスタンとイゾルデの物語は、この「アーサー王の死」の中で最も大きい物語で、全体の1/3を占めています。
ここでは巻のお話をいたします。
第20巻 「円卓の騎士内乱」
第20巻は「円卓の騎士内乱」のお話について15章を使って記している。
円卓の騎士「モードレッド」と「アグラヴェイン」が共謀し、ランスロットと王妃の不倫を暴こうとしたことが発端。
モードレッドとアグラヴェインは常にランスロットを見張り、ランスロットに恥辱を当た要としていた。
そんな中、ランスロットとグィネヴィア王妃の不貞を暴いてしまい、アーサー王にランスロットの捕獲を懇願した。
これを受けたアーサー王は困惑しながらも捕獲を許可し、モードレッドとアグラヴェイン、その他12人の円卓の騎士が捕獲に向かった。
その日の夜にランスロットとグィネヴィア王妃が一緒にいた所に完全武装した騎士達が捕獲に訪れた。
ランスロットはモードレッド以外の騎士を殺害し逃亡。
アーサー王はことを知り、グィネヴィア王妃の処刑を命じた。
ランスロットはボースとその他仲間の騎士達と共に処刑場に乱入。
ガレスやガヘリスを含む非武装の円卓の騎士達を殺害して王妃を救いだした。
この知らせを受けたアーサー王とガウェインは完全にランスロットと敵対。ランスロット達とアーサー王達の間で内戦が発生。
フランスに逃げたランスロットとその後を追うアーサー王達の間で激闘が繰り広げられる中、アーサー王の元にモードレッドが謀反を起こしたという知らせが届くのであった。
登場人物
登場人物 | 簡単な人物紹介 |
アグラヴェイン | ランスロットとグィネヴィア王妃の不貞を暴こうと画策した円卓の騎士の1人。 |
ランスロット | グィネヴィア王妃と不貞の中であった円卓の騎士。 円卓の騎士の中では最も最強で、アーサー王からの信頼も厚かった。 |
モードレッド | アグラヴェインと共にランスロットとグィネヴィア王妃の不貞を暴こうと画策した円卓の騎士の1人。 |
ガウェイン | 円卓の騎士の1人。 今回の事件でランスロットとの仲は完全に壊れてしまった。 |
ボース | ランスロット側についた円卓の騎士の1人。 聖杯探索の成功者でもあり、みんなから信頼されている騎士。 |
ガヘリス | ガウェイン四兄弟の1人で円卓の騎士の1人。 この物語で敬愛するランスロットに殺害されている。 |
ガレス | ガウェイン四兄弟の1人で円卓の騎士の1人。 この物語でランスロットに殺害されている。 |
ライオネル | フランス出身の円卓の騎士で、ランスロット側に付いている。 |
物語の見どころ
この物語は、完全に円卓の騎士の崩壊が決定的となったことを示してくれるもの。
今までは不穏な雰囲気はありましたが、何とかなるのではという希望もありました。
ただし、円卓の騎士の殺害で完全に何ともならないことに。。。
ランスロットが自分の愛の為に主を裏切り、騎士道に反する行為をしてしまってまで守りたかったものが知れます。
今まで散々言われてきた円卓が崩壊する原因となったのが、予言通り円卓の騎士最強の男というのが何とも悲しいところ。
また、騎士道とは何かを改めて考えさせられる場面もあります。
- 王妃の不貞という大罪を暴こうとした騎士
- 王妃との愛を護る為に仲間を殺害した騎士
時代によっては後者が正しいという人もいますが、前者が正しいという者もいます。
私はこの物語を読んだときは「アグラヴェイン」の行いが正しいと思いましたが、あなたはどう思いますか?
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