【アーサー王伝説】第21巻1章 円卓の騎士の裏切り者
モードレッドは国中の領主に「アーサー王はランスロットに殺害されたが、私は王に選ばれた」という書簡を送り、グィネヴィア王妃と結婚すると宣言した。
王妃は拒絶し、ロンドンにあるロンドン塔に立て籠もった。
そんなモードレッドの元に、カンタベリー司祭(高貴な牧師で、徳の高い方)が戒めたが、聞く耳を持たなかった。
破門をされても狼狽することはなく、グィネヴィア王妃を塔から誘い出そうとしていた。
王妃は「結婚をするぐらいなら自殺する」と悉く誘いを跳ね除けた
「アーサー王の軍勢が本国に向かっている」という知らせを受けた、モードレッドは領主たちを招集し、戦争の準備を整えていた。
領主たちを含め、この国の民にはアーサー王に不満を持つ人、新しいものを受け入れた人が多かった。
アーサー王の古き友でさえも、モードレッドの側についたのであった。
主な登場人物
- モードレッド
- グィネヴィア王妃
- カンタベリー司教
物語の感想
アーサー王がランスロットと戦っている時にまさかのモードレッドの裏切り行為。
とはいえ、1巻の時からモードレッドの裏切りは示唆されていたので、ある意味予定調和な感じはしますね。
モードレッドは叔父にあたるアーサー王が死んだと偽って、さらに叔母にあたるグィネヴィア王妃と結婚しようとする、何とも言えないことをしようとしています。(少なくとも15歳以上は離れている血のつながりはない身内と結婚すると言い張っていますからね。。。)
これに対し、王妃は”心はとても重かった”という言葉があります。字面だけ見ると、
- 結婚は絶対にしたくないという嫌な感情
- アーサー王への愛が重いという決意
- ランスロットへの愛が重いという決意
のどれかに受け取れました。(おそらく最初の決意の意味合いでしょうね。)
その後、司祭からの戒めに対してモードレッドは心を改めるどころか逆切れ(憤慨に近く、司祭を殺すと言い放つ程。)
モードレッドを破門することが出来るほどの方なので、物凄く徳が高い方と分かりますが、モードレッドにとってはそんなのは関係ないと言い放てるほどです。もはやイングランドでは「徳や誠実、信仰」などは存在せず、力(暴力)だけが闊歩するようになっている現れなのかもしれません。
そして、アーサー王が帰還するところでイギリスでの習慣や慣習を表しています。
イギリス人は新しい物好きである。これが災いしてか、今まで自分たちのために献身を尽くしてくれたアーサー王に対しイギリス人は満足しなくなったのである。
なので、人々はアーサー王の悪口を言い、モードレッドについていく方が幸せになれるだろうと言い放った。
この考え方自体はよくある考えなので、新しい物好きの方が生活が上手くいくこともあるでしょう。
保守的?であるか革新的であるか?の違いでしょうが、イギリス人は革新的な人が多いと言っているわけですね。いざ字面にすると自分が尽くしてきた民にボロカス言われるのは嫌ですけどね。。。
出典: トマス・マロリー「アーサー王物語 5(筑摩書房)」
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