【アーサー王伝説】第21巻10章 ランスロットの出家
ランスロットは
私を隠者が受け入れてくれれば、贖罪の修行に入り、命続く限り祈り続ける。
王妃よ、どうぞ最後の口づけをしてください。
と王妃に願ったが、
いいえ、そのようなことはできませんし、あなたも禁じてください
ランスロットとグィネヴィアは悲しみのあまり、何度も意識を失った。
グィネヴィアは侍女たちが部屋まで運んでいき、ランスロットは一日中涙を流しながら馬を走らせた。
しばらく進んでいると礼拝堂と庵の存在に辿り着き、カンタベリーの司教とベディヴィアに出会った
ランスロットは、ベディヴィアから事の経緯を聞き、悲しみ、そして、懺悔をして罪の許しを乞うために、司教の仲間になりたいと願った。
法衣を着たランスロットは、昼夜問わず祈りを捧げるのであった。
ランスロットの大軍に戻す。
ドーヴァーに待機していたライオネルは15人の諸公を引き連れてロンドンまで向かい、そこで全員殺害され、ボース卿は軍を領土に引き返した。
ランスロットの一族の騎士達は、ランスロットを探すためにイングランドを探し回り、あの礼拝堂に到着し、そこでランスロットと再会した。
訪れた騎士達は自らも法衣を着用し、祈りと精進の生活が始まった。
それからさらに半年、7人の高貴な騎士が訪れ、同じく修行の道を選んだ。
ランスロットは酷くやせ細っており、他の騎士達はどのような苦難な修行もいとわなかった。
そうして6年の修行を経て、ランスロットが司祭となった夜のこと、ランスロットに幻が一夜に3回現れた。
すぐにアームズベリーに行きなさい。
そこに辿り着く前に、グィネヴィア王妃は既に亡くなっている。
王妃の亡骸を、気高きアーサー王の傍らに埋葬するのです。
主な登場人物
- ランスロット
- ライオネル
- グィネヴィア王妃
- ベディヴィア
- ボース
- エクター・ド・マリス
- ブラモー
- ブレオベリス
- ガリハッド
- ガリホディン
- ガハランティン
- ヴィラーズ
- クララス
物語の感想
ランスロットとグィネヴィア王妃の破局。
今まで色々なことがあり、グィネヴィア王妃に拒絶されてもなんだかんだ上手く?いっていた二人であったが、ここにきて本当に破局してしまいました。
王妃は今までの出来事を全て自分の責任と考え、その責任を取ろうとしている。
もしランスロットに口づけをしてしまえば全ての責任から目を背けることになってしまうため、できなかったのでしょう。
その後ランスロットはアーサー王が眠る?礼拝堂に辿り着き、そこで苦行の道に入ることを決めた。
また、サラッと流されておりますが、ランスロットの軍勢はライオネル率いる15人の諸侯がロンドンで殺害されるという混沌ぶり。これだけブリテンが荒れているというのも事実であり、アーサー王率いる円卓の騎士の盛者必衰を良く表している。
この物語の最後に、王妃はもう死ぬからアーサー王と共に埋葬してあげなさいと悟られております。
- アーサー王とグィネヴィア王妃の良き友人であるからこそ最後の使命を与えた
- アーサー王とグィネヴィア王妃からの親切をランスロットが再度思い出すための使命を与えた
- ランスロットにはまだ円卓の騎士として神(もしくは精霊となったアーサー王?)が最後の使命を与えた
私としては最後の説を押していきたいですね。(アーサー王も死に近い時に、ベディヴィアに使命を与えておりましたし。。。)
出典: トマス・マロリー「アーサー王物語 5(筑摩書房)」
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