【アーサー王伝説】第21巻5章 アーサー王の旅立ち
アーサー王は夢でガウェインが忠告してくれたことを守れなかったと後悔。
王を抱えた瞬間、片側を担いでいたベディヴィアは意識を失った。
同時に、もう片側を担いでいたルーカンは体の一部が飛び出し、死亡したのであった。
アーサー王はルーカンの死を悲しんでいる暇はないと言い、ベディヴィアにエクスカリバーを海へ捨てるように頼んだ。
ベディヴィアは2回捨てるのを誤魔化したが見抜かれてしまい、3度目に遠い場所に捨てた時、水の中から現れた腕が剣を受け取り、3度大きく振り、剣と共に消えてしまったのであった。
アーサー王を連れて水辺に連れていくと、王妃を含めた多くの美しい貴婦人が小さな船に乗って待っていた。
アーサー王は、その船に乗り、1人残されたベディヴィアにこう告げた。
「もう私は頼りにならない。これからアヴァロンの島に行くのだ。私の話を聞かなくなったら、祈ってほしい」
そして、王を乗せた船はアヴァロンに向かって進んでいった。
ベディヴィアは1人悲しみながら夜通し森を歩いていると、礼拝堂と庵を見つけたのであった。
主な登場人物
物語の感想
アーサー王は忠告を無視したため、軍を失い、ルーカン迄も失ってしまいました。
アーサー王はベディヴィアに自分のエクスカリバーを湖に捨てるように命じたが、最初は剣の見事な装飾に目がくらみ、ベディヴィアは捨てたと嘘をつく。
再度お願いされても同じく立派な剣を捨てるのはもったいないと嘘をついてしまった。
(最も信頼していた家臣でも、アーサー王の命令よりも欲に目がくらんでしまうという・・・)
結局は剣を湖に捨て、アーサー王も湖のほとりに連れていくと貴婦人が乗った船が現れ、王だけを載せてその場を去った。
ベディヴィアには「私は頼りになるような力はないから、上手くやってほしい。私の話が聞かなくなったら、祈りを私の為に捧げてほしい」と遺言を残しています。
一見無慈悲かつ無責任な話に見えますが、本当の意味でここでアーサー王の時代が終わったことを示していると思います。
王自身が頼れる力をもうない以上、民を導くこともできなければ守ることもできません。
だからこそ、アーサー王は「自分の力はない(自分の時代は終わった)」と語ったと考えられます。
出典: トマス・マロリー「アーサー王物語 5(筑摩書房)」
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