【アーサー王伝説】第21巻6章 ベディヴィアの出家
その礼拝堂には以前、モードレッドによって追放されたカンタベリーの司教がいた。
その側には新しい墓があり、誰が埋葬されているのか尋ねると、
「昨晩の真夜中に、沢山のご婦人がある方の遺体を運び、金貨1000枚、蝋燭100本を渡してきた。そして、その人を埋葬してほしいと頼んできた」
これを聞いたベディヴィアは、アーサー王とすぐに気が付いた。
そして、粗末な服を着て、アーサー王の為に祈りを捧げ、司教に仕えるのであった。
ただ、この遺体が本当にアーサー王なのかは分かっていない。
何故なら、司教も確認したわけでもなく、この話を記したのはベディヴィア本人なのだから。
主な登場人物
- モルガン・ル・フェ
- ニミュエ
- 北ウェールズの王妃
- カンタベリーの司教
- ベディヴィア
物語の感想
ベディヴィア及び、アーサー王の物語の終わりでもあるこの章。
船で運ばれ、アヴァロン島に向かったはずのアーサー王のご遺体は実は割と近くの礼拝堂に埋葬されていたという。
当初、ベディヴィアはアーサー王が眠っているとは知らなかったが、貴婦人たちが頼み込んだという話を聞き、アーサー王と確信したという。
ただし、この遺体がアーサー王の遺体であるかどうかは分からないところである。
埋葬する際に遺体の顔は見えると思うが、その際に元カンタベリーの司教であればアーサー王の顔ならすぐに見分けがつきそうなものだが。
また、この情景の記述はベディヴィアが記させたものと書いてあり、本当にアーサー王が眠っていたのかは分かっていない。アーサー王の遺体を狙った墓荒らしから守るためであれば、そもそも記載する必要性もないはず。(そもそも、この遺体を運んできた貴婦人が本当にアーサー王を船で運んで行った人たちなのかも定かではない。)
出典: トマス・マロリー「アーサー王物語 5(筑摩書房)」
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