今回お話する悪魔は
海の大怪物
レヴィアタン
です。
何故か名前の最期に「たん」がつくとちょっと可愛らしい感じになるのか・・・。
ですが、ここでレヴィアタンの話を聞けばその印象も少し変わるでしょう。
レヴィアタンとは?
レヴィアタンは聖書に登場する悪魔?というよりは、巨大な海の怪物のことです。
日本のいくつかの創作物でも、その名前と共に海の怪物らしい姿で登場しています。
~レヴィアタン~
- 英文表記: Leviathan
- 別名: リヴァイアサン
- 意味1: 自らを折りたたんで集める者
- 意味2: とぐろを巻く者
- 出典: カナン神話、旧約聖書
日本ではリヴァイアサンで有名でしょう。
正確には悪魔とはされていませんが、悪魔学者たちによって悪魔とみなされている少し可哀そうな怪物です。
「嫉妬」を体現する悪魔
嫉妬は人間なら誰しも感じる感情です。
キリスト教では「隣人を愛しなさい」といった教えがあります。
キリスト教徒同士、助け合って生きていくことを良しとする考え方であり、人間としては素晴らしく当たり前のように聞こえます。
ですが、前述したとおり人間は「嫉妬」に囚われる生き物でもあります。
嫉妬に囚われると自分よりも優秀な人間に嫉妬をしてしまい、最悪の場合隣人にすら嫉妬してしまいます。
本来助け合うべき他人を憎み、足を引っ張ることに喜びを感じることに繋がります。
キリスト教では嫉妬を動物で表すと「蛇」となり、レヴィアタンの外見と一致します。
これだけではないでしょうが、こういったことからも、レヴィアタンは「嫉妬」を体現する悪魔なのでしょう。
レヴィアタンの特徴は?
レヴィアタンの特徴に統一された姿はない。
資料によってバラバラであり、唯一といってもいい共通点は
- 海の中に住んでいる
- とてつもなく巨大な体である
といったぼんやりとした点だけで、後々の聖職者たちによって
- ワニ
- クジラ
- 大蛇
- ドラゴン
など後付けで解説されることが多い。
そんな中で、聖書の「ヨブ記 40:15」には「ベヘモット」が記されており
- ヨブ記:「40:25」
- ヨブ記:「41章」
- イザヤ書:「27章1節」
- 詩篇: 「74章14節」
- 詩篇: 「108章26節」
などでも、レヴィヤタンは登場している。
次で紹介する聖書の訳は「新共同訳」の説ですので、他のサイトで紹介されている訳とは少し変わっています。(おそらく同じ部分)
ヨブ記 40章25~32のレヴィヤタン
40章の最後の部分ではレビヤタンという名前が記されており、主である神がヨブに対してこう伝えています。
お前はレビヤタンを鉤にかけて引き上げ
その舌を縄で捕らえて
屈服させることができるか。
お前はその鼻に綱をつけ
顎を貫いてくつわをかけることができるか。
彼がお前に繰り返し憐れみを乞い
丁重に話したりするだろうか。
彼がお前と契約を結び
永久にお前の僕となったりするだろうか。
お前は彼を小鳥のようにもてあそび
娘たちのためにつないでおくことができるか。
お前の仲間は彼を取り引きにかけ
商人たちに切り売りすることができるか。
お前はもりで彼の皮を
やすで頭を傷だらけにすることができるか
彼の上に手を置いてみよ。
戦うなどとは二度と言わぬがよい。
元々、このヨブ記は「信心深いヨブに対し、神やサタンが様々な試練を課す」お話で構成されている。
(神は全知全能である。そんな神がどんな不幸でお前を襲っても、「それは神の愛。神が間違えるはずがない。私は受け入れる」という絶対的な信仰心を持っているのか?ってお話な感じ。)
その試練の過程で、「レヴィヤタンとベヘモット(ベヒーモス)」のお話がある。
ヨブ記 41章のレヴィヤタン
41章はほぼ全てがレヴィヤタンの記述となっています。
他のサイトでも記されているのですが、「ワニ」をイメージしたのではないかと思わせる記述があります。(ちょっと長いので、一部割愛)
彼のからだの各部について
わたしは黙ってはいられない。
力のこもった背と見事な体格について。
誰が彼の身ごしらえを正面から解き
上下の顎の間に押し入ることが出来ようか。
誰がその間の顔の扉を開くことが出来ようか。
背中は盾の列
封印され、固く閉ざされている
その盾は次々と連なって
風の吹き込む透き間もない
彼がくしゃみをすれば、両眼は曙のまばたきのように、光を放ち始める。
口からは火炎が噴出し、火の粉が飛び散る。
喉は燃える炭火 口からは炎が吹き出る。
心臓は石のように硬く 石臼のように硬い。
彼が立ち上がれば神々もおののき 取り乱して逃げ惑う。
剣も槍も、矢も投げ槍も彼を貫き通すことはできない。
彼の腹は鋭い陶器の破片を並べたよう。
打穀機のように土の塊を砕き散らす。
この地上に、彼を支配する者はいない。
彼はおののきを知らぬものとして造られている。
驕り高ぶるものすべてを見下し
誇り高い獣すべての上に君臨している。
イザヤ書:「27章1節」
イザヤ書には、レヴィアタンが悪魔とされる根拠となった話が記されています。
その日、主は
厳しく、大きく、強い剣をもって
逃げる蛇レビヤタン
曲がりくねる蛇レビヤタンを罰し
また海にいる竜を殺される。
この文章は、人類を惑わす悪魔「蛇」が裁かれると記されています。
また、その他に「竜」という記述が最後にある。
実は「蛇はエデンの園でイヴを騙した生き物が、神によって変えられた後の姿」で、それ「以前の姿が竜」という話があります。
詩篇: 「74章14節」「104章26節」
ここでは、レビヤタンが最後の審判の際にどうされるのかが記されています。
「74章14節」
レビヤタンの頭を打ち砕き
それを砂漠の民の食料とされたのもあなたです。
砂漠の民は「ユダヤ民族」のことをさしているのでしょう。
元々、彼らは砂漠にすむ貧しい民族であり、救いがあると信じています。
そして、その際にあらわれる救世主によってレヴィアタンは食料となるのです。(それまではレヴィアタンは殺されない)
そして、同じく「104章26節」には
舟がそこを行き交い
お造りになったレビヤタンもそこに戯れる。
ここでのレビヤタンは「竜」ではなく「造形物としての船」ですね。
大きい船を竜と見なしたんでしょう。
つがい(夫)がいる?
レヴィアタンは雌の悪魔(怪物)で、夫となる怪物も存在するといわれている。
つがいとなる怪物がいたという説はユダヤ教文献などにいくつか記されていて、
- 雄のレヴィアタン(アッカド神話)
- ベヒモス(キリスト教の陸の怪物)
の2つの有力な説がある。
だが、1つ目の雄のレヴィアタンの説はかなり可哀そうな説となっている。
~殺された理由とその後~
神自身が2対のレヴィアタンを創造した。
だが、誕生したレヴィアタンは想像以上の大きさであり、子供が増えてしまうと地上が滅びてしまう。
そういった事情から、神によって雄のレヴィアタンだけが殺害されてしまった。
その遺体は保存され、最後の審判の際に人類・救世主の食料とされる。
物凄く可哀そうな理由から雄は殺害され、その遺体は食料にされてしまったという。
もう一つの「ベヒーモス」説はキリスト教に取り入れられた後に生まれた説。
陸の怪物の対になる存在として、海の怪物「リヴァイアサン」「レヴィアタン」となったという。
また、2頭が海に同時に入ると海水があふれるので、ベヒーモスだけは陸で暮らすようになったという。
悪魔としてのレヴィアタン
なぜ海の怪物が悪魔とされたのか。
一応諸説ありますが、イザヤ書で「神が罰として剣でレヴィアタンを殺した」という記述があるためともいわれています。
悪魔としてのレヴィアタンに憑りつかれると、悪魔祓いは通用しないと言われている。
大嘘つきで、旅行者や行商人に憑りついて、嘘や詐欺の技術を教える。
特に女性に憑りつくが、追い払うのは大変難しいとされています。
また、悪魔学におけるレヴィアタンの地位は
- 地獄の海軍大提督
- 第3位の地位
など、悪魔としても強大な地位に君臨する悪魔でもあります。
まとめ: 7大悪魔の1柱「レヴィアタン」
今回は「嫉妬」を司る7大悪魔の1柱「レヴィアタン」について紹介させていただきました。
元々は悪魔ではないのですが、悪魔らしい記述があるので悪魔とされてしまうのは少し悲しいというか‥‥。
という訳で今回のまとめ
- レヴィアタンは7大悪魔の1柱
- 「嫉妬」を体現している
- とてつもなく大きい身体をしている
- 甲冑のような体をしており、あらゆる武器も通さない
- 最後の審判の際に救世主・民たちの食料とされる
- ベヒモスという雄のつがいがいたらしい
- 悪魔としては強力で、女性に進んで憑りつく
- 悪魔祓いがかなり難しいとされている
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